2013年3月1日

0.52%というリスク。

これね、みなさんに問いたいんだけども、やっぱりオレの感覚がおかしいんだろうか。
いろいろと日記に書こうとしてたこともあるんだけど、
昨夜のニュースでどうしても気になったものがあったんで緊急投稿。

オレはノーリスク症候群の人たちが大嫌いでさ、
そもそも生きてる以上、ノーリスクなんて状態があるわけないってのな。
そりゃ誰だってリスクはなるべく回避したいけど、
生きていく上で大なり小なり必ず生ずるリスクを病的に嫌悪する姿って、
もう単純に不気味なんだよね。その都合の良さが気持ち悪くて。
かといって、そんなオレでも「放射能?気にすんな!」とは言わないけど(笑)、
以下の記事を見て「おい、マジか?」と思った次第。

朝日新聞デジタル:福島原発、甲状腺がんリスク増加も WHOが報告書発表

記事を要約すると、世界保健機関(WHO)が福島第一原発事故後の
被曝による健康影響に関する報告書を発表した、と。
で、被曝線量を推計するにあたって、以下のケースを前提としたようで。

・事故後4カ月、計画的避難区域にもかかわらず避難しなかった
・県内産のものしか食べなかった
・被曝線量が最も高いとされる浪江町の1歳女児

つまり「最悪のケース」を想定したわけよ、WHOは。
で、その健康への影響の予測結果がこれなんだけど。

・生涯の甲状腺がんの発生率が0.77%から1.29%へと68%増加
・乳がんが5.53%から5.89%へと約6%増加
・大腸がんなどの固形がんは29.04%から30.15%へと約4%増加

えっ? ・・・いや、マジで驚いちゃったんだけど。

オレの勝手なイメージではね、4カ月間避難もせず浪江町で被曝し続けて、
その間県内産のものしか食べずに内部被曝も進行した、しかも免疫力の低い1歳女児なんて、
そりゃさすがに幼年期の発がんは100%免れないでしょと。
そう思ってたんだけど、・・・「生涯の甲状腺がんの発生率が0.77%から1.29%へと68%増加」?

誤解を恐れずに言うと、オレは正直「たったそれだけ?」ってビックリしたのね。
パーセンテージをわかりやすく数値に直して書くと、
今まで(事故以前)は1万人いたら、生涯で77人が甲状腺がんに罹ってたと。
これ、死んだ人数じゃないよ。あくまで甲状腺がんを「発がん」した人数ね、生涯で。
それが事故後、上記の最悪のケースの場合で、129人に増えるだろうってニュース。

しかもね、このニュースは「だから安心ですよ」って政府・東電の提灯記事じゃなく、
日本政府はこの報告書に対して反論してんのよね、発がんの可能性はそんなに高くないって。
つまりは、どちらかというと「こんなに酷いんだぞ」って告発の類の記事になるわけ。

・・・いったいどうなってんだ?
そこまで世間はノーリスクを求めてんだろうか。
オレにとってこの記事って「そんなに安心なんだ」としか思えなくて。
もちろんそれはオレが安全圏に身を置いてるから出来るお気楽な発言だとは思う。
でもね、この数値を見て、どうしても「そんなに深刻なんだ・・・」とは思えないんだよね。

このニュースを見て真っ先に思い浮かんだのは、
汚染された食べ物やら、瓦礫処理による汚染の問題でさ。
上記のような「想定される最悪のケース」で、しかも「1歳女児の場合」ですら、
生涯で0.52%、1万人中77人が129人に増えたってだけに留まってんのよな。
じゃあ、福島から遠く離れた東京や大阪、北九州で汚染を声高に訴える人たちって、
いったいどれほどのパーセンテージと戦ってんだろうかと。

これはド素人なオレの勝手な予測に過ぎないけど、
「想定される最悪のケース」で0.52%の上昇ってことは、
例えば東京や大阪在住の子供がいる家庭で、事故以前と変わらず普通に子育てをして、
でも一応は心配だから、なるべく福島産の食べ物は避けてて。
そんな「一般的なケース」だと、0.01~0.05%程度の上昇に留まるんじゃないの?

つまりは0.01~0.05%程度のリスクを回避するために必死に戦ってるってこと?
その時点でまずオレなんかは信じられないんだけども。
それってもともと0.77%ってリスクがあることを無視してんじゃなかろうか。

つーか、生きてく以上、リスクなんて必ず付いて回るものでさ、
これ以上のリスクなんて山ほどあるわけじゃん、特に子供なんてのは。
高いところに上りたがったり、変なものを飲み込んだり、急に走り出したり、
オレは子供ってレミングばりに死にたがる生き物だと思ってんだけど(笑)、
だったら0.01~0.05%程度のリスク回避より、
普段のリスク回避にもっと注力すべきじゃない?と思ったり。

いや、もちろん放射能汚染はよろしいことじゃないし、
リスクが上がらないに越したことはない。ゼロならもっといい。それはわかる。
でもね、原発再稼働や瓦礫処理への反対の声の大きさと、
実際のリスクにすごく距離を感じた次第でさ。
万引き犯に対して死刑の声が圧倒的多数、みたいな。

だから、この記事を読んで「じゃあ放射能安全じゃん」ってつもりは毛頭ないけど、
とにかく世間はそこまでノーリスクを求めてんのかと驚くと同時に怖くなってさ。
そこまで過剰に脅えて、自分で住みにくい世界にしちゃうの?って。
その結果、「ストレス」って別の健康リスクを犠牲にしちゃうの?って。

単にオレがこのニュースを読み違えてるんだろうか?
むしろそうであってほしいなあ。
だって、この記事が読者に危機感を煽ろうと「大衆向け」に書かれてるんだったら、
それってつまりはこの数字を見て憤るような人たちが「大衆」ってことでしょ?
そんな世界は息が詰まるよなあ。やだやだ。


<2013年3月5日追記>
あ、書き忘れてたので追記。
震災後、「東北の食材を食べて応援しよう」ってキャンペーンが張られて、
それは後に「内部被曝を拡散させる気か!」って非難されたりもしたけど、
純粋な善意からこれまで東北の食材をガンガン食べてきた人たちもいるわけで。
その人たちも、WHOの報告書から見ると、全然安心ってことでしょ。
それって単純によかったなーと思うよね。
善意の結果が発がんじゃあまりに報われないもん。
無神論者だけど、神様っているかもね、なんて思ったり。